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執筆者の写真吉岡 俊史

熱量

「熱意」(ねつい)の意味は誰しもご存じのことかと思います。


一方、「熱量」(ねつりょう)は熱エネルギーの大きさを表す量のことだそうです。カロリーとかワットなどの単位でも言い表すもの、というとわかりやすいかもしれません。


この両者「熱意」と「熱量」は全く異なるものであったはずなのに、今「あなたの熱量には圧倒されました」とか「来場者から、ものすごい熱量を感じました・・」など、まるで熱量が熱意を表しているかのように、比ゆされて使われる場面を多く見るようになりました。


一日でも早く、社会で活躍したい・・・会社に入って仕事をがんばり、会社や社会に貢献する、そしてたくさんのお金を稼ぐ・・・など、熱い思いを持って、当施設、就労移行支援事業所ユースターに来られる方がいらっしゃいます。その方からは、私たち支援スタッフが感じるのは「熱意」です。でも一方で「熱量」といった方が良いようなものも確かに感じるのです。

そういいながら、その違いは何か?と問われると、はっきりとは説明できない自分がいます。


私なりに、なぜ最近は熱意の代わりに、熱量と言うことがあるのか・・・を考えてみました。

もちろん私個人の意見ですから、間違っている解釈かもしれませんし、他の方それぞれが持っていらっしゃる解釈も尊重したいと思います。

私の思う熱量とは・・「自分なりに秘めているもの、がんばっているものの量」のように思います。

つまり熱意という本来測ることはできない抽象的なものが、相手に迫るように熱く、濃く、伝わるもの。そして、その熱意が、他の人にも大きな感動や刺激を与えている。ということから、熱意があるとか無いとかでは語りきれず「すごい熱量がある」、と言いたくなるのではないか、と思うのです。


なぜ熱量という言葉が気になったかと言いますと・・・昨今、熱意があるとか無いとかで、人は評価されがちで、それに何となく違和感を持ったからです。

ユースターを卒業され、就職をした方が、職場でがんばっている姿はすばらしいです。

しかし、就労者の中には「がんばっている姿」をアピールしているわけではなく、粛々、淡々と真摯に自分の仕事を進めている方が多いのです。その姿は、見かけだけでは必ずしも熱意があるように見れない場合があるのです。


それは、就労者の皆さんは、与えられた仕事を着実にこなすだけであって、熱意とか、一生懸命さをアピールすることには頓着しないからだと思います。自分の仕事を淡々と誠実に進めてゆくことで自分が満足する、それが自分の一番の得意・・自分らしさという方が多いのです。

熱意を持っている・いないが見えないと、やる気が無いとか、がんばっていないなどと誤解されがちです。そうではなく、彼らが緊張と希望を胸に毎日がんばる姿から伝わる熱量を、私たち支援者はもっと称えるべき、と思います。支援者が、あらためて本人のことを良く知り、見方を変えると、会社や私たちに飾らない熱いものが伝わってくるのです。

熱意は見えにくくても、本人が発する熱量を感じ取り、それを受け取っていることを、働く皆さんにお返ししながら、応援をしたいと思うのです。


ユースターで作業に集中する写真
支援者や企業が、じわじわと本人が内面から発する熱いものも感じ取ってゆきたいです



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