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執筆者の写真吉岡 俊史

タフネス

タフなことをタフネスという名詞でいうときがあります。文字通りタフであること➡強靱(きょうじん)、ねばり強さ・・等の意味に加えて、難しさを指すときにも”タフな交渉”等と表現したりもしますね。


言葉の意味はさて置き、社会で働き続ける上で、タフであること・・特に気持ちがタフであることは、大きな強みになるのかと思います。

しかし、そのタフネスをどうやって身につけるのか?は大きなテーマです。


タフネスを身につける方法はなかなかありません。何かを学んだり、経験したりしてすぐに身につくものでもないですし、そもそもトレーニングなどをして「身につける」対象となるモノなのか?と疑問になります。


就労移行支援事業所ユースターを利用される皆さんとご一緒する毎日の経験から、気持ちをタフにしてゆくためには、支援スタッフとだけ交流していては不十分と感じます。施設内だけでは、”タフネス”はなかなか身につきにくいものかもしれない、と感じるのです。


まずは、ご想像の通り、支援スタッフの立場が問題です。支援スタッフは本人の側で考え、支え、本人を尊重してゆくことから関係が始まるので、そこから相対する関係、特にタフさを蓄積するような関わりを持ちにくい状況があるのです。

もちろん、それは支援スタッフの支援が未熟であることも要因ですし、「これからこういう関係ですよ」と、利用される皆さんへの事前の説明も不十分であるからかもしれません。


どうしてもタフさを身につけるには、ある程度の対人刺激や緊張の場面を再現したり、対峙する関係を実感してもらう役割のようなものが必要になります。


就労支援のような形の支援では、信頼関係が何にも増して大切にしたいことです。そのような中で、実践でタフさを身につけるために支援スタッフができることは限られているかもしれないからです。

しかし、ロールプレイという便利な方法もあって、つまり演じて体験するものですが、なかなか実感しにくいものです。それでも、少しでも役に立てていただければ、という想いから、ユースターではロールプレイを行うプログラムを取り入れています。


タフネスは、やはり施設の外、例えば企業内での実習などの場面で、実践として、本人との関係が浅い人や、理解が薄い人と関わる経験の方が役に立つことが多いです。

ある実習先でのやり取り・・・

会社の人A「このくらい●●分でできないとだめだよ」

会社の人B「もう慣れているんだから覚えないとダメだよ」

会社の人C「いわれたとおりにやるんだったら誰でもできるから・・」


そう言われて凹んでしまわないように・・自分も気持ちを取り直して次に頑張れるか・・・


そのように、普段関わりの無い人と接触することを無条件で肯定しているのではありませんし、本人の準備が整わない中では、初対面の人や慣れない人と関わりを持つことが良い経験になるものでもありません。むしろ、間違った経験をしてしまうと、社会に不信感を持つことにもなりかねません。


困った状況を避けることに徹するのではなく、自信を失うことなく、社会の摩擦や刺激を体験していただくことを慎重に進める環境を作ってゆきたいと思っています。


そして何よりタフネスは、社会で生活してゆくため、そして自己や自信などを持ち続けるために必要なことでもある、ということを何となく感じていただきたいとも思っています。そして施設での活動と両立してほしいと思っています。  ・・・みなさんがんばれ!


実習先で体験している様子
困難に耐えるのがタフネスなのではなく、自分に自信を持つことがタフネスなのです




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