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インフレと就労支援①

執筆者の写真: 吉岡 俊史吉岡 俊史

経済変動と福祉支援は無関係と思われがちですが、就労支援に関してはそうでもありません。


経済成長が適度に進むことで多くの企業が働き手を必要とし、なおかつ生産活動や投資も拡大することで雇用の機会も増えてきます、そのために企業による障がい者雇用の機会も増えてきます。

増えるといいましても、量的に増えるというだけではありません。それよりも、今まで障がい者が働きにくいと思われてきた業種や職種、領域(実際はそうではない場合もあるのですが・・)の募集が始まったリ、中小規模の企業が障がいのある方にも働いて欲しいと募集を開始することもあるのです。。。


現代日本のように、インフレが続いていることで、就労支援にも影響が出てくるのです。

まずは、人材不足もあり、大企業をはじめ賃金が大きく上昇しています。その部分だけを見れば働く人にとっては良い傾向ではあります。しかし、誰もが実感していますとおり、実際は物価の上がり方が極端で、お給料がついてこない状態であります。


厚生労働省の調査(毎月勤労統計調査)では、小規模の企業も含めれば、給与は1年で3%近く上昇しているにもかかわらず、物価は3%どころではなく上昇していますので、実質賃金はマイナスとなっています。


障がい者雇用は非正規雇用の場合も多いです。非正規雇用者として働く場合の賃金形態は、物価上昇との実質賃金のギャップがさらに大きいという実感があります。


そうなりますと、就職を機に「一人暮らし」を計画している方や、就職した収入でやりたいことを実現したい・・という夢を持っている方が、実際に働き始めてもやりたいことに費やせる資金が溜まらない・・ということになってしまうのです。


頑張って、苦労をして働いているが、いつまでたってもやりたいことに手が届かない・・いつまで働いても通帳の残高が増えず、希望が見えてこない・・という状況にもなるのです。


障がいがありながらも、一般社会でがんばるためには、周囲の配慮や環境が重要ですが、自分を鼓舞することも大事です。そして更に大事なのは、働いて得られる希望や夢を持つことです。


しかし、せっかく希望や目的を明確に持っていても、就職した後にがんばり続ける日々の中で、実質賃金が伴っていないことを実感しはじめ、自分のお給料の全てが毎日の生活に必要な費用として消えていってしまうことで、とてもさみしい気持ちにもなってくるようです。

せっかくの希望や目的、そしてプライドも萎えてくる可能性があるのです。


賃金が物価に見合っていると、就労支援を進める上でも、本人にとっても就労の意欲につながりやすいのです。

しかし、現在の状況のようなインフレであれば、就労の意欲にもつながりにくいのです。

これは決して見過ごせるような小さなことでもないですし、当然ながら本人の責任でもありません。


障がい者雇用は、法定雇用率だけでは解決しないのは明白です。社会全体で実質賃金の上昇につながらないインフレが、就労支援にさまざまな影響をもたらしている実態も考えられると良いと思います。

(=つづく)

給料袋の写真
実質賃金が就労する方々にも影響しています

 
 
 

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