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インフレと就労支援②

執筆者の写真: 吉岡 俊史吉岡 俊史

前のブログ「インフレと就労支援①」では、希望や目的を明確に持っていても、就職した後に実質賃金が伴っていないがために希望や目的の実現もしにくい、と書かせていただきました。

就職を頑張って果たして、働くことができれば、欲しいものを買ったり、元々描いていた希望や夢も叶えられる・・・という働く動機も、自分のお給料の全てが日々の生活費に消えてしまうことで、消滅してしまうことになります。


また「欲しい物を手に入れる」という目的は、働いて給料を貯める理由として、とてもわかりやすいものですが、時代と共に「欲しい物を手に入れる」目標は変化していて、「物」だけではなく「自分の生活レベルや活動」をより高める・・という目標を持つ方も増えています。例えば「資金を貯めて一人暮らしをしたい」などです。


更に、お給料を得ること自体が自分のプライドを満たし、社会から承認されている充足感を得る利点もあるので、自分を肯定したり、気持ちを充足させるために就職をしたい、という方もいらっしゃいます。


賃金が見合わないインフレ状況が続いている今、ニュースでは、人々はさまざまな節約や工夫をしながらしのいでいる様子が報道されています。


しかし、障がいの有無に関係なく、人々の中には、上手に節約ができず、日々の生活の中でのお金の使い方に優先度をつけることが不得手な方もいらっしゃると思います。


たとえば就労に向けた準備支援では、お金の自己管理については、しつこく取り上げます。理屈では皆さん理解しますが、具体的には収入のうちいくらを貯金したら良いかのイメージを持つことはとても難しいのです。

お給料を得たら、一か月間そのお金を生活費、貯金、その他に分けて30日(31日)間計画的に使わなければならないところ、衝動買いや夢とか希望のために、今月の収入のほとんどを費やしてしまう、といったこともあります。

そうしてしまう本人を責めることは簡単ですが、決して正しい解決方法ではありません。

金銭管理はとても奥深く、欲求を抑えることも非常に難しい課題です。

また、夢や希望を持つことは、前向きに生きるために必要なことですから、全てを節約したり抑えたり、管理することが正解ではない場合もあります。


そうは言っても、かなり良い水準のお給料を得ながら数年間働いた方が、退職直後には残金がほとんどなかった、ということも実際にはありました。。。


そのようにお金の使い方の優先度付けが難しいために、計画的に使わなかった方は、お給料額の高低に関係なく、常に手持ちの残金が少ない、ということがあります。

『就職をしたら、もっと貯金が増えるはずだったのに・・・』そういう場面を良く見聞きします。


お給料さえ得られれば、今まで我慢してきた色々なことが解決する・・・と信じていた方にとっては、そのようなお給料を得ることが解決なのではなく、自分で金銭を管理するスキルを身につけることが、将来の希望の実現のために必要であることを知っていただきたいと思いながらも、決して簡単なテーマではないことも知っておきたいです。

もちろん、就労支援の極めて大事な点にもなりますので、支援スタッフとして、引き続き取り組んでゆきたいと思います。


そして、貯金や実質賃金は見てわかりやすい「成果」ですから、それができないと、働きがいややる気の減退にも影響を及ぼしてしまいますので、一生懸命働く障がいのある方々のために、自分の頑張りが成果として見えるようなお金の循環を、社会としても支えてゆけると良いと願います。


通帳の写真
お給料さえ得られれば、今まで我慢してきたことが解決するという夢はどこへ?・・


 
 
 

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