エンゲージメントという言葉は、特に昨今頻繁に目にするようになりました。主には働く人が企業に対して自発的に発揮する力やその動きです。一言でいうと”企業への貢献意欲”です。
エンゲージという言葉で「エンゲージリング」という言葉を思い出す方がいらっしゃるかもしれません。
エンゲージリングはもちろん”婚約指輪”です。「婚約の証」として男性から女性に贈られてきていたものです。ここで使われている「エンゲージ」という言葉。。。これは「約束」や「契約」という意味です。つまり結婚を約束する証なのでエンゲージなのです。
エンゲージメントに戻りますと、約束という意味でいえば、エンゲージメントは何の約束になるのか?ということになります。まさか婚約ではないです(笑)
・・これは、
働く人が企業の掲げる理念、目標を十分に理解して、賛同し、それに対して自分の力を発揮する、気持ちを企業と同じ方向に持ってゆく
という意味での約束なのです。
似た単語に「モチベーション」というものがあります。モチベーションは、動機付けの意味ですから、個人に対して言うことが多いようです。何かの報酬、手当などがわかりやすいモチベーションです。〇〇をしたら□□が得られるからやる気が起こる、というのがモチベーションで、そこには企業と一人の従業員という構図があります。
エンゲージメントはそれとは異なり、もっと長期的に、”何かを得られるために”というよりも会社の意志を理解してそこに賛同し従業員が力を発揮する、もっと集団的な形になるのです。
就労移行支援事業所ユースターが、利用される方の就職に立ち会うとき、個人と会社という構図ですから、なるべくモチベーションを持って働き始められるようにサポートをします。
しかし、会社側に立ってみると、ユースターから就職した方は一人の従業員ですから、会社とのエンゲージメントも必要になる、と捉えるべきだと思います。
つまり、ユースターから出て就職した方が、その会社がやろうとしていることに賛同して、自分も会社のためにがんばろう、と思う時がくることを願って、就職後の支援を継続してゆく必要があるのです。
ユースターから就職をした方は、入社直後は自分のことで精いっぱいです。会社から与えられた仕事をなんとかクリアしたい、という想いがとても強いと思います。
しかし、慣れてきて我にかえるときが来ます。その時に「なぜ自分はこんな仕事をしているのか」「これをずっとやり続けるのか」「同じことの繰り返しで将来が見えない」などの気持ちを持つ方がいらっしゃいます。
そして、残念ながら、そのタイミングで離職してしまう場合もあるのです。
離職する本人が「モチベーションが無くなった」とおっしゃるときがありますが、そのような状態を見ると「モチベーションは最初はあったが、エンゲージメントは築けなかった」ということなのだと感じます。
就労支援を行う支援スタッフは、少なくとも自分のためのモチベーションから就職をしたあとのことも考え、将来エンゲージメントを築けるか?という点に意識を向け、働く本人と会社の両方をサポートする必要があると思います。
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