ナッシュ均衡についてです。この言葉をご存じの方はどのくらいいらっしゃるかわかりませんが、私は、つい最近知りました。
ナッシュ均衡とは、お互いに競争している状態ではありながら、均衡が取れていることを言うようです。均衡というと、聞こえ方としては良いイメージがありますが、競争状態ということになると、例えばゲームをしているとき、どのプレーヤーも自分の戦略を変更すると、より高い利得を得られないという状態です。
一定の選択肢や戦術で均衡され固まっている状態を言うそうです。
本当のナッシュ均衡ではない、とお叱りを受けるかもしれませんが、こじつけに近い例です。。デパートのレストランフロアでは、和食、洋食、中華、高級、ローカルなど、色々な種類のレストランが並んでいますが、どれもが競争し合う中でも、均衡が保たれているのです。恐らく自分だけ利益をあげようとする戦略はもっとあるかもしれません、例えば別の場所に一軒だけで営業するとか、特別安価な食事を提供するなどですが、逆に人が来ない場所に開店してお客様がまったく来ないとか、安価で利益があがらないなど、レストランフロアにいる時よりリスクを被る可能性があります。
そうなると、最大の利得にはなっていないかもしれないものの、みんなが利益を得るために、そこに留まるという状態です。すべての参加者(ここではレストラン)が他の参加者に対して、最適な戦略をとっている状態とも言えます。
行動経済学にも出てくるナッシュ均衡ですが、正しく理解しようとすると理論や数式があって、とても複雑で、もちろん私はついてゆけないので、これ以上深くは入らないようにしますが・・
なぜ今日ナッシュ均衡について取り上げさせていただいたかといいますと、
福祉業界にある色々な福祉事業(たとえばユースターの場合は就労移行支援事業なのですが)は、同じ福祉制度のサービスを運営している会社や事業所は自分以外にも多く存在します。福祉の場合は、理論上お互いに競争関係ではなく、協力関係を保ちながら日本の福祉増進に携わっているわけですが、実際にはそれぞれの事業所が経営的に成り立ってゆかなければなりませんので、そのための戦略を持っています。
しかし、一定の「見える”制度”、見えない”福祉”」という枠組みの下での均衡状態にもあるとも言えるのではないか・・と思うのです。
これをーナッシュ均衡ーと比べるのは、間違っているかもしれませんが、
『お互いがベストではないがそこに留まる』という、何となくナッシュ均衡に「似たような」状態にもあるようにも思えてしまいます。
何が似ているかといいますと、福祉サービスを提供する事業所「それぞれが、自分の提供するサービスを変更すると、より高い利得を得られなくなるという状態」という部分です。
どの福祉サービスを提供する事業者も一定の福祉制度の中で均衡が取れています。お互いが協力したり、補完したりすることで更にお互いが近寄っています。
では、ユーザー(顧客)である利用者の方にとってはどうでしょうか?、たまにはデパートのレストラン街ではなく、ひっそりと誰もいない裏通りで、とびきりおいしいものも食べたいとか、自分に合った特別なサービスを受けたい、と思う方がいらっしゃるかもしれません!。
サービスを提供する事業者側も、ベストではないがそこに留まっている状態だけではなく、実は自分だけができるとびっきりのものを提供したい、と思っている事業者もいらっしゃるのではないでしょうか。
あるコラムに「ナッシュ均衡が、社会全体からみて望ましい状態かどうかについては考察が必要です。。。」という一文がありました。
ユースターの就労支援も、真に何が求められているか、しっかり考えてゆきたいと思います。
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