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執筆者の写真吉岡 俊史

備えあればうれいなし か?

就労移行支援事業所ユースターを卒業されて、就職を果たした方の中には、良い意味で、とても興味深い変化が見られます。


ユースターに通っている間は週に1~2日はお休みしていた方が、就職を期に無遅刻無欠勤となり、それが定着してゆく場合があるのです。

その方に、毎日の通勤で「無理はしていないか?」「このペースで続けられるか?」を、しつこいくらいに確認しますが、ゆるぎがないのです。。。そして、体調を充分考慮しながら、そのリズムを維持できるようサポートをするのですが、本人には無理をしている様子も見られないのです。

また極端に生活パターンを変えているようでもないようなのです。


では、なぜそのように通勤を毎日できるようになったのでしょうか?


本人から返ってきた言葉は「ユースターにいる間は気を抜いていた、なぜならそこは本物の会社ではないから、最後までがんばらなくても良かった」といったものでした。


また、同じくユースターを利用する別の方からは「ユースターに通っている間は就労支援なので、全てが会社の模擬ですね。本番はユースターのあとだと思っています」

・・・・!


確かに、おっしゃる通りユースターは会社で働く前の『社会の模擬的な場所』といえば模擬的な場所です。支援スタッフも、同じ社会人とはいえ、支援をする立場なので、本人を否定するようなことは起こらないのです。

言葉は適切ではないかもしれませんが、ユースターを利用される方の中には、ユースターは、偽物の社会や会社に映るのかもしれません。


そこで「社会に出る練習ですので、本気でやりましょう!」と言っても、そうそう簡単にはその気になれないのかと思います。


むしろ、そうであれば、ユースターにいる間に、彼らの本気の力を想定・理解して、その力を積み上げるようにし、そして最後は本番での彼らの力を信じるしかない、と思うのです。

そうした結果が冒頭の例のように、就職したら「本気の力」が出てくる場合もあるのです。

就職前に100%以上の力を身につけないと就職後は100%発揮できない、と言われます。しかし、それは人の持つ理解の仕方や、ものごとの捉え方、価値観や潜在能力にも拠りますので、一概には言えません。


「本番の力」どう発揮されるか?も個人個人が持つ力です。そこを無いものとした支援より、可能性が発揮されるかもしれない、と信じる支援もしたいです。そしてうまくいかないときに、しっかり支えて行ければと思っています。


「備えあれば患いなし」は当然に大事ですが、今回利用される方から教えられたことは、備えと信じることが大事、備えがないと次に進めない・・だけではない、ということでした。


就職して会社で働く様子の写真
本物の会社ではないところ・ユースター・・確かに!

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