「学習性無力感」という言葉があります。
お恥ずかしながら、心理学上のこの状態を論ぜられる知識は持ち合わせていませんし、ここで論ずる意図もありません。
しかし、障がいのある方が一般企業に就職をした後のフォローとは、何を支援したら良いのか?・・・就職後の支援のあり方を考える際のヒントとして、学習性無力感というものが、働き続ける間の本人の心の状態と、どこかでつながる点があるかもしれないと思いました。
特に就職時の働く本人の心理状態と、働き続けるために維持すべき気力や自信については、重要です。しかし、しっかりと支援すべきと思いながらも、私自身力が及ばない経験を多くしてきました。。。
就職した後は本人とお会いする機会は当然ながら減ります、毎日様子を見るといったことは本人も希望しないですし、本人の雇用者も望まないことだと思います。
身近に本人がいない状況で本人の気持ちを支える方法は就労支援の大きなテーマです。
学習性無力感とは、ストレスや思ったようにできない経験、失敗経験を長い間繰り返すうちに、そのストレスに打ち勝つ気力や回避する行動を起こさなくなることです。
自信を失い、何をやっても良くならない・・・・とあきらめてしまう状況、無気力な状態になることをいいます。
就職する際は、誰もが希望とともに、自分はできないかも・・と期待と不安の間にいると思います。
どこかで「うまくいったー成功した」という経験が一度でもあると、その経験が就労を続ける気力につながることは確かです。
就労は始めることより、続けることの方がはるかに多くの気力とエネルギーを必要とします。特に「自分にはできるのか?」と思うときもあれば「そもそも自分は自信があるのだろうか?」と、自分の能力や可能性、自分のレベルがわからない状態にもなることがあります。そして、そのときは「自分がいま(仕事が)できているのか?」を知ろうとする気持ちが大きくなっています。
その気持ちをしっかりと受けとめ、『適切な』フィードバックを、働く本人に返すのが、私たち支援スタッフ(就労支援員やジョブコーチ)になります。
しかし、そのフィードバックをする「タイミング」や「内容」「方法」がかみ合わないと、逆にマイナスな結果にもなります。本人にとって実感を伴わない評価は、かえって戸惑いにつながってしまうのです。
特に「タイミング」は重要で、働く本人が”何をやっても失敗する”と自己否定し、また周囲からのフォローもないと、次第に学習性無力感のような状態になってしまうかもしれません。
そうなっていないか?を常に見極める必要があります。
しかし見極めることはとても難しいと感じます。
見極める難しさは、働く本人が何にストレスや失望感を持っているのか?を自分でもわからない点にあると思っています。
単に「大丈夫ですか?」と聞いても「はい」という返答しか返ってきません。もちろん大丈夫なときもありますが、そうでないときは、本人の返答に関わらず「実際の心の中のストレス」に目を向ける必要があるのです。
どの点に目を向けるかについて、次のブログで書かせていただきます。
(=つづく)

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