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執筆者の写真吉岡 俊史

実践に勝るもの・・②

実体験で得られることは、形として見えるもの、見えないものの両方があります。


例えば、書類を日付順に整理をするという仕事を指示されたとき、年月の順番はピンと来ていますか?・・「一年は1月に始まって12月に終わるのは当然わかっているので、あたりまえ」と思うかもしれません。しかし書類の束を年号月日順に「ミスなく」4時間並べ続けられますか?

仕事となると「正確⇒ミスなく」が基準です。


就労移行支援事業所ユースターでは「ファイルトレーニング」というプログラムがあります。そのプログラムの最初が書類を日付順に手で並べます。決まった時間で決まった手順で行います。

2月22日、12月12日、12月1日、2月12日、1月21日の日付の書類、とっさにノーミスで並べ替えられますか?


こんなことはできるのは当たり前、と思っている方は、それだけでその仕事をメインに一日過ごす業務には不向きなのかもしれません。

どういうことかといいますと「できるのは当たり前」⇒つまり、その仕事を軽視している⇒それだけではなく、実は「やりたくない・苦手」・・と思っているのかもしれないからです。

なぜなら、やれる自信があるものに対しては、すぐにとりかかろうとする習性が誰にもあります、苦手なことは一呼吸置いてしまう、距離を取る、他の人がやるのを待つ・・などの行動を無意識にとってしまうかもしれないからです。


もう一つ「掃除」という難しい仕事で行動特性が顕著に出ます。

ユースターでは清掃を真剣に行うトレーニングがあります「掃除なんて仕事は学ばなくてもできるし、そもそも目指していないから」「それは『誰かが』やる仕事でしょ」と避けようとする方がいたとします。その方は清掃を軽視した振りをして、敬遠、回避しているのかもしれません。


つまりは、どうやったら「完全な形の清掃」「清掃の正解」がわからないから・・ということかもしれないのです。その方には清掃の方法をむしろアドバイスすると良いのかもしれません。

事務の仕事であっても、パソコンの仕事であっても、終わったらテーブル周りは掃除するでしょうし、会社では、たとえ清掃担当の人がいたとしても、整理も含めて何らかの清掃は行う可能性は高いのです。


実習をしてみると、自分が仕事に向き合う姿勢が自分でもわかります。すべてのものを素直に受け入れて取り組めるか、まずは心の底で一つ一つの仕事を「値踏み」して「やる・やらない」を決めてはいないか?

やってもいない仕事を値踏みすることは「やりたくない、できない」という心理があるから、ということがわかるだけでも大きなメリットです。


ファイル整理の様子
ファイル整理の実践だけでも仕事の適性を自他ともに感じられます(写真と本文は無関係です)


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