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執筆者の写真吉岡 俊史

発達障がい 家族⑥~職場での人づき合い~

発達障がいの方の中には、人との関わりが苦手という方がいらっしゃいます。本人がそれを感じているだけではなく、家族もそのように見ているときもあります。


全ての発達障がいの方ではないのは言うまでもありません。とても人づき合いが上手で、たくさんの人と交流される方も多くいらっしゃいます。今日は特に苦手と感じる方やその家族の方について書かせていただきます。


ユースターでは、就職後の支援として、ユーディーという部門で、会員になられた方へ、就職後の期限を設けずにご支援を行っています。中にはユースター創業前から関わらせていただいている方もいらっしゃいますので、10年以上はその方の働くをサポートさせていただいています。


10年以上、同じ職場で働き続けていらっしゃる方々は、人づきあいが上手な方だけではありません。苦手な方でも同じ職場で働き続けていらっしゃいます。。そうなると、人づきあいは就労を続けるために必要ないのか?と思ってしまいます。

いや、そうではなく、働く本人も人とのつきあい方に困ったり、悩んだりしながらも働き続けているのです。いや、むしろ人との関わり方が苦手で、何らかの悩みを感じ続けながら働いている方が多いです。

家族は特に本人のことを良く知っていますので、明日にも辞めるのではないか、なぜ会社は雇い続けているのか?と半信半疑・・毎日戦々恐々としながら本人を仕事に送り出しているのです。


『では、なぜそれでも働き続けられているのか?』


まず一つ目に挙げたいのは、言うまでもなく”本人の努力”です。本人は心に色々なことを想いながらも、時には妥協したり、無理したりしてじっと、時が過ぎるのを待ったりしています。

どうしても人間関係に耐えられない時には、支援スタッフに話したり、会社の人に話すことで、どうにか(本当に”ぎりぎりなんとか”)会社を辞めずに続けられています。

家族も同様です。「退職になるかもしれません」という言葉を何回も家族と交わしました。


そして二つ目に挙げたいことは”職場の理解”です。それも、最初からできていた理解ではなく、長く周りの同僚や上司とおつきあいすることで、何年もかかって周りの方との人間関係が作られてきた上での”理解”です。やはり「続けること」から何か良いことを得られるものだとつくづく思います。

特に一旦できたこのような人との信頼関係は崩れにくく、たいていのことは周囲の方は受けとめてくださるようになります。

発達障がいの方だから、というような狭い理屈ではなく、本人の人としての魅力や仕事ぶりに精通した同僚から頼られたり、仕事を任せられたり、逆に本人が同僚から仕事を教えてもらう中で、二人の関係が強固になったり。。そういった同僚の輪が広がると、本人にとって、とても盤石な職場になるのです。人は誰かと関わりたい、という本質的な点は同僚にも言えることで、良いマッチングが生まれることで職場からの理解も得られるのです。その点は家族には見えにくい時もありますので、つい「迷惑をかけている」「大丈夫か?」と思ってしまう場合もありますが、大丈夫なのです。


最後、三つ目に挙げたいことは”一体化”です。何の一体化といいますと、本人と会社全体です。何が?と思われるかもしれませんが、ここでは本人が会社の一員に完全に組み込まれている、とでもいいますか、本人が会社にいることがあたりまえになっているような「一体化」です。私が支援をさせていただいている方で、この段階にいる方は、正直全てを本人と会社にお任せすることが一番最高の「支援(?)」とも感じるのです。ある発達障がいの方は所属する会社の社長よりもはるかに長い間会社で働いています。人づきあいが特に上手でもなく、本人はやはり自分の思うような人間関係は築けず、困りながらも数々の山谷を乗り越えてきています。でもその様子は会社と一体化されているのです。本人も仕事のやりがいや楽しさを感じ、やめるという言葉は一切出てきません。

上で書かせていただいた”職場の理解”のその先に出来上がった本人と会社(職場)の関係です。

家族にはその点をお伝えしつつも、それでもぬぐい切れない家族のご心配にも心を合わせてゆきたいと思います。


支援スタッフとして、このようにして働き続ける方を心より敬服いたしておりますし、本人から多くのことを学ばせていただいています。

働きがい、生きがいとは「これ」なのかもしれません。


職場で実習をする様子です
実習の様子です。いつか本番で働き甲斐を感じられることと思います

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