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執筆者の写真吉岡 俊史

見えない得意と見える不得意

見えないこと、未経験なことに対する不安は誰にでもあることだと思います。

当ブログでも何度か触れていることですが、その後も見えないことに対する不安が、生活や就労のさまざまなことに影響を与えてしまうようです。


就労移行支援事業所ユースターを利用される皆さんと将来についてお話しする際、皆さんはの中には、見えない将来についてどのように準備をしたら良いかわからない。心や気持ちの置き所が無く、せつない気持ちを持っている方がいらっしゃいます。

支援スタッフとして、どのように寄り添ったらよいのか・・本人の気持ちに少しでも応えることになるのか・・考えることも多いです。


「見えるべき将来が見えないから不安になる」ということよりも、見えない今の状態、見ることができない自分に対してやるせない気持ちもあるようです。


その気持ちに対しては、一緒に気持ちを共有しながらも、自分一人で探すのではなく、一緒に悩んで探すことが私達支援スタッフのできることなのかもしれません。


その一方で、不安を抱く方の中には、逆に、見えるがゆえに不安であるとおっしゃる方もいます。

例えば、一度就職をして働いたが、その職場で辛い経験をした、とかうまく働けなかった・・といったことから、「今度もそうなるのではないか?・・・」と思ってしまう場合です。

少なくとも自分ではそのような実体験をしたので、繰り返したくないという想いと、自分は変わっていないから同じことが起こるに違いない、と思い込んでしまうのです。



そこで感じるのは、『不得意なことに限って良く見えてしまう。一方で得意なことは見えていない。だからこの先の将来も不安』ということです。


例えば、ユースターを利用される方が、就職に関わる書類に自身のプロフィールを書く中で、自分の不得意、短所を書く欄に、失敗した実体験を書く方がいらっしゃいます。

実際の経験ですので自分から見ると失敗経験は事実なのかもしれません。しかし言ってみれば、その失敗は会社組織の中で起こったことで、自分以外の「周りの上司同僚や職場はどのように思ったか?」ということにも視点を向けたいと思うのです。


つまり、自分では失敗したと思っていても、会社の同僚など、みんな同じ失敗を経て今日勤務しているのかもしれないのです。

そして、その失敗は会社としては失敗ではなく、新入社員の一つの経験としかうけとめていないのかもしれないのです。


過去の就職までの人生で、自分に対して、学校や家族から”できた”とか”できなかった”といった評価を受けた経験は多かったと思います。

中にはその「評価」を何度も言われ、心のしこりになっている方もいらっしゃるのかもしれません。

しかし就職した後は、それとは”少し違う種類の評価の基準”になるのです。具体的には、そこには、会社のこうやって欲しいという思惑や一緒に働く人との人間関係も織り込まれて受ける評価です。悪い評価ではなく業務指導をマイナス評価を受けたと勘違いする方も少なくないのです。それは、一つ一つ”できた”とか”できなかった”という評価ではない場合があります。

自分への評価をもっと大きく括って「経験」として、気にせずに見えにくい”自分の得意”を信じていただきたいと思います。またそう捉えていただけるように寄り添いたいと思います。


作業実習の風景
自分の得意を、自分の目で、もっと確かめて欲しいです※本文との直接関係はありません





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