障害者雇用率は2.7%ですが、年度単位で段階的にそこまで引き上げるということで、とりあえず2024年4月1日からは2.5%になります。つまり従業員が40人以上の会社には、1人の障がい者が働いているようになります。障がい者が一緒に働く環境が整えられていくことを期待したいです。
数字上で採用のチャンスが増えているようにも見える裏で、働こうと思っている障がいのある方は、そもそもの入り口である雇用に関わる各種手続きや、契約など慣れない段取りにとまどいを抱くことが少なくありません。特に注意が必要なものの一つに「雇用契約」があります。
働いた経験者、社会生活経験者などにとっては、それほど難しいことではないかもしれませんが、初めて経験される方にとっては、決して小さなことではありません。
とまどいを感じる要因として・・これから働く、ということに意識が向いているときに、不意に契約と言われ、何を見てどこに注意をして署名したら良いのか・・などがわからないということがあります。その他にも多くの事務手続きが押し寄せてくる中で不安も大きくなります。そもそも手続きがわからないだけではなく、就労や社会といった未知の世界への警戒、拒否、躊躇感といったことが上乗せされてしまうのです。
就労支援を担う私達ユースターの支援スタッフも、就職して働くことについては、本人とたくさんのことを準備するものの「雇用契約」は不覚にも直前に働く本人と話しただけ、ということもあったのです。
本当は働く前の大変重要な手続きですから、契約上の注意点などをしっかりと理解していただく必要があり、支援不足に反省をしました。
今日は、その障がい者雇用の「雇用契約」について考えたいと思います。
申し上げるまでもなく、障がい者雇用であっても雇用契約が必要です。この雇用契約は書かれてある内容や条件も、障がい者雇用ではない場合の雇用契約(このブログでは「一般的な雇用」と呼ばせていただきます)と同じです(はずです)。
具体的には、個々人に合わせて配慮されるべき事項以外は、業務内容やキャリアアップ(昇給昇格)、就業条件などは違いはないはずなのです。
そしてたいていの場合は雇用契約内には配慮されることなどは記載されません。
たとえば一時間当たりの時給額が一般的な雇用者とは違うとか、給与支給日や頻度、雇用契約の期間などが、特別な理由なく一般的な雇用と違う、といったことはあってはなりません。
一般的な雇用と障がい者雇用・・・同じように就職し、雇用契約をし、お給料を得るということです。
しかし、働く方は、それほど多くの雇用契約の経験が無かったり、一般的な雇用契約と比較したことがないことから「この内容で良いのか?」とさまざまに不安を持たれて相談に来られます。ネット上には「雇用契約の落とし穴」といった不安をあおられることが書かれてあるときもあります。
大抵の会社は一般的な雇用と同じ雇用契約書を使っていて、問題は無いようですので、安心できると思いますが、少しでも多く、働く当事者の方の不安や注意すべき点などをお伝えしていかなければならないと思っています。
雇用契約の見方、締結の意味なども含めてユースターでも、皆さんと一緒にしっかりと事前に準備をしてゆく時間を導入しました。
人によっては、人生初めての「正式な契約行為」かもしれません。一人の自立した社会人としての実感を持つきっかけとして、自分の名前をしっかり入れる良い思い出にもしていただきたいとも思っています。
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